チュートリアル

Velvetの使い方【ミックスマスタリング学園】

2025.05.12

ボーカル、ダイアログ用の簡単ツールVelvetがリリースされました。皆さんもうチェックしていただけましたか?

人間の音声を心地よく聞ける音に仕上げるために必要な様々な処理を直感的な使い勝手で済ませることができるVelvetは、ミックスに不慣れな方でも安心して使い始めることができるでしょう。

まずVelvetの画面は上半分のシビランス(サ行に含まれる不快な歯擦音等)を抑え込むパートと下半分の声の音色、トーンを整えるパート、そして右端のマウスクリックを取り除くパートの3つで構成されます。

VelvetをインサートをしたらLearnボタンを押してから特にサ行やSの子音が目立つ部分を中心に5秒以上再生します。

すると、Velvetがシビランスの中でも特にミックスの中で悪目立ちしてしまう部分を特定し、その部分を抑え込むパラメータを自動的にセットします。

Amountを上げるとディエッサーがより強くかかるようになります。また、Thresholdを下げるとディエッサーが弱い信号により反応しやすくなります。

ここでセットされたEQのノードはマウスで動かせる他、左右のハンドルをドラッグすることでQ値を変えることができます。上方向のダイナミックEQにしたり、スタティックなEQ処理に変更することができます。


ダイナミック/スタティックEQの切り替えは赤で囲まれた部分で

選択中のノードの周波数、ゲイン、Qは画面中央に表示されており、フィルターの形はBell以外にもローシェルフ、ハイシェルフを選ぶことができます。


各ノードの設定はこちらで数値が確認できます

ノードはバツボタンで削除できますし、ライン上をクリックすることで新しく追加することもできます。ソロボタンをクリックするか、ノードをOptionまたはAltクリックすることで、そのノード周辺の成分だけを聞くことができます。電源ボタンを押すと、そのノードは一時的に無効になります。

Sibilanceの文字の右のSボタンを押すとシビランスの成分だけを聞くことができ、左側のボタンを押すと、画面上半分のシビランスに対する処理がバイパスされます。

続いて、ボーカルやダイアログのトーン、音色を整えるTonal処理を見ていきましょう。Velvetの画面下半分のセクションではドロップダウンリストにある音色のターゲットに近づけるように動的なブースト、カット処理を行います。Velvetはボーカルやダイアログに向けたプラグインですが、楽器やシンバルに使うこともできます。


ドロップダウンリストを開くとボーカル以外にもダイアログや楽器、シンバルを選択可能

Liftはブースト方向の処理の強さを、Tameはカット方向の処理の強さを表します。

EQ処理の強さは低域、中域、高域に対して個別にスライダーで調節することができます。

ターゲットを選んだらトラックを再生しながら楽曲やミックスに適したトーンになるようにこれらのコントロールを調整していきます。

Tonalの文字の右側のSボタンを押すとTonal成分のみを聞くことができ、左側のボタンを押すと
Tonal処理がバイパスされます。

画面右側に注目してみましょう。Velvetにはクリックノイズを取り除く機能がついています。De-clickスライダーを下に動かすと、よりノイズに敏感に反応して取り除くようになります。Frequency Skewを上げると高域を中心に、下げると低域を中心にノイズに反応するようになります。

耳のボタンをクリックすると取り除いたノイズだけを聞くことができ、その左のボタンを押すと、De-click処理を無効にします。De-click処理を使うとレイテンシーが長くなるため、必要が無い場合は切っておくのがおすすめです。取り除かれたノイズの数がここに表示されます。

Deltaボタンを押すとVelvetで生じた全ての変化、差分を取り出して聞くことができ、BypassボタンでVelvet全体の処理をバイパスできます。

Mixスライダーを動かすとVelvetを通った信号と元の信号を混ぜることができます。Velvetを極端な設定人して少しずつ混ぜていくというアプローチも有効でしょう。

動画でも解説しているので、併せてご参照下さい。

 

以上がシンプルなボーカル、ダイアログ用プラグインVelvetの使い方のご説明でした。