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Are You Listening? オーディオ・マスタリングの基礎 

2020.04.01


iZotopeのチュートリアル動画シリーズ『Are You Listening?』では、プロフェッショナルのマスタリング・エンジニアでiZotopeのエジュケーション・ディレクターでもあるジョナサン・ワイナー氏が講師となって、リスニング方法、リスニング環境、EQ、コンプレッション、リミッティングなど、さまざまなマスタリングの基礎テクニックを紹介しています。iZotopeのマスタリング・ソフトウェア、Ozoneを使用して一緒にマスタリングの基礎を学んでいきましょう。

エピソード1は、「オーディオ・マスタリングとは?」。Ozoneの無料トライアル版をダウンロードして、実際にマスタリングの練習をしましょう!

マスタリングとは?
マスタリングはわずか0.5 dBの調節が大きな違いを生み出す作業です。そして、作品を世に送り出す直前のラストチャンスであるマスタリングは、正しく行うことがとても重要になります。

マスタリングではミキシングと同じツールを使いますが、使用目的に違いがあります。EQやコンプレッサー、リミッター、レベル調節など類似する部分もありますが、ミキシングとは切り離したマスタリングの考え方でこれらのツールを使うことが重要です。ご自身のボーカルをプロデュースするのが難しいように、ミキシングとマスタリングを同時に(無意識に!)行うことは至難の業なのです。

レベル vs ラウドネス
レベルはお使いのDAWに装備されたメーターで確認できる平均値なのに対して、ラウドネスは脳の中で起こっています。音楽を配信するプラットフォームに適切なレベルか、常に考えましょう。(例:どのプラットフォーム用にマスタリングをするのか?)

ジャンルとラウドネス
ラウドな音楽というと、私たちは歪みやエッジの効いたサウンド、骨太のサウンド、濃密なアレンジといったワードが思い浮かびます。一方でシンプルなアコースティック・ミュージックは、それほどラウドである必要はありません。マスタリングでは、ジャンルがレベル設定のヒントになります。また、15人のマスタリング・エンジニアが述べているように、ジャンルはマスタリング・プロセスにおける様々な要素の土台にもなります。

潜在的なラウドネス
どんなトラックにも潜在的なラウドネスがあります。例えば、モノラル・レコーディングは定義上、ステレオ・レコーディングよりもラウドであるとされています。音のトーンとステレオ幅が理解できれば、楽曲の潜在的なラウドネスや限界を把握するのも簡単になります。これはご自身で簡単に確認することができます。iZotopeの無料プラグインOzone Imagerをダウンロードして、早速チェックしてみましょう。

少しの調節で十分 
わずかな調節が大きな変化をもたらすマスタリング。ミキシングでは、あるトラックのEQを0.5dB調節しても全体的なサウンドはそれほど変わりません。しかしながら、マスタリングのEQで0.5dB動かせば、ミキシングにおける全トラックのEQを0.5 dB変えたことになるのです。「LESS IS MORE」(控えめな調節でも大きな変化)であることを忘れないようにしてください!試しにマスタリングで10 dBの調節を行って、その結果を確認してみてください。

Jonathan Wyner(ジョナサン・ワイナー)

「マスタリング界の至宝」として知られる、アメリカ音楽業界屈指のマスタリングエンジニア。1983年から活動を開始し、エアロスミス、シカゴ、デヴィッド・ボウイ、ゴッドスマック、ジェームズ・タイラー、ピンク・フロイド、マイルス・デイヴィス、ニルヴァーナ、セロニアス・モンク、ロンドンシンフォニーの作品に従事。1991年には自身のスタジオ「M-Works」を設立し、これまでに関わった作品数は5000を超える。

iZotope社ではエジュケーションディレクターとして教育部門を指揮。マスタリングプラグイン「Ozone」の開発にも深く関わり、人工知能を使ったマスタリングの研究を進めている。また教育者としても著名で、名門バークリー音楽大学でエンジニア科教授として次世代の育成にも力を注いでいる。著書である「Audio Mastering: Essential Practices」は、マスタリングのバイブルとして多くのエンジニアに愛読されている