チュートリアル

プラグインって何?【ミックスマスタリング学園#22】

2024.02.12

iZotopeをはじめ、音楽やサウンドデザインに用いられる様々なプラグインがマーケットには存在していますが、これからDAWで曲作りや音声編集を始める方や動画編集を始める方にとってプラグインという存在は直感的では無いかもしれません。

本記事ではプラグインがどのようなもので、どのようにユーザーに役立つのかを解説します。

プラグインって何?

プラグインとは、DAWに特定の機能を付け足すために用いられる補助的なソフトウェアです。DAWの中で仮想的に繋げて使用するようなイメージなのでプラグインと呼ばれます。

料理に喩えると、DAWが台所でプラグインが調味料や食材のようなものです。自分に合った台所に、自分が使いたい道具を並べて使うことを想像してみると、プラグインがいかに不可欠なものかイメージできると思います。

プラグインを使うことでDAWでは様々な機能を実現できます。

  • EQ
  • コンプレッサー
  • リバーブ
  • ディレイ
  • エキサイター
  • リミッター
  • コーラス/フェイザー/フランジャー
  • バーチャル楽器
  • シンセサイザー
  • etc

ごちゃごちゃと書きましたが、プラグインを買い足せばDAWで出来ることが増えるというイメージを持ってもらえると良いのではないかと思います。

また、ちょっと細かい話なので読み飛ばして次の項目に進んでいただいて構わないのですがDAWごとにプラグインの規格はバラバラになっているので、お使いのDAWが対応しているフォーマットを選ぶ必要があります。主なフォーマットを挙げてみます。

  • AAX(Avid社)
  • VST(Steinberg社)
  • Audio Units(Apple社)

AvidのDAWであるPro ToolsはAAXに対応していますし、SteinbergのCubaseやNuendoはVSTに対応しています。Appleも同様です。一方ここに名前のない、例えばPreSonusのStudio OneやMOTUのDigital Performer等もこれらのいずれかまたは複数のフォーマットと互換性があります。詳細はお使いのDAWのマニュアルや製品ページをご参照ください。

更に細かいことを言い始めるとVSTには2.x世代と3世代というバージョン違いが存在しており、ツールによってVST3に対応していなかったり2.xに対応していなかったりもするので要注意です。

プラグインの使い方

まずは購入したプラグインをインストールするところから始まりますが、インストールしてもプログラムやアプリケーションの一覧にそのプラグインが出てこないことに困惑したことがある方もいるかもしれません。

インストールしたプラグインを使う場合、まずDAWを起動してその中でプラグインを読み込みます。

プラグインをインストールしたしDAWも起動した! さてプラグインをどこで使おう? となったら、大体の場合は

  • 音素材そのもの
  • 信号の通り道

のいずれかにプラグインを使うことになります。もう少しDAWっぽい言い方に直しましょう。

  • オーディオクリップ/リージョン
  • チャンネル/バス

のいずれかにプラグインを使うことになります。大体のDAWではミキサー画面を開いた時にINSERTみたいな名前の欄や枠があると思うので、そこをクリックすると読み込みたいプラグインを選べます。


▲Cubase/Nuendoの場合▲


▲Pro Toolsの場合▲


▲Studio Oneの場合▲

チャンネルやバスにプラグインをインサートすると、そこを通る信号全てにそのエフェクトがかかるようになります。例えばマスターにエフェクトをインサートすれば、そのプロジェクトに使われている全ての音がミックスされた後で同じエフェクトを通ることになります。

スタンドアローンアプリ

一方で、プラグインをインストールしたつもりがプログラムやアプリケーションのフォルダの中にそのソフトウェアが見つかってしまって余計に困惑したことがある方もいるかもしれません。これはスタンドアローンアプリと呼ばれ、DAWを起動しなくてもその機能を扱うことができます。iZotopeの場合、RX Audio Editor(RX Standard以上に付属)やAudiolensがこれにあたります。


▲RX 10 Audio Editor▲


▲Audiolens▲

認証

購入しインストールしたプラグインを使うためには認証する必要があります。初心者の方が面食らうのがこの認証の存在かもしれません。メーカーによってアクティベーションやオーサライズと呼ばれたりします。

そもそも何故認証が必要かというと、認証を設けなければ簡単にコピーされて海賊版を使いたい放題になってしまうからです。

プラグインの認証には一般的にシリアル番号/シリアルナンバーという被りのない固有の文字列が用いられます。この番号を何かしらのツールに入力することによって、そのプラグインを自由に使えるようになります。

iZotopeではProduct Portalというアプリケーションでライセンスの管理を行っており、マシンそのもの、またはiLokというUSBメモリのような形の鍵(ドングルキー)で認証を行うことができます。

https://support.izotope.com/hc/en-us/articles/6658125027345-Welcome-to-iZotope-Product-Portal

プラグインのインストールと認証についてはこちらの動画もご参照ください。

 

ライセンスについて

いわゆる買い切りタイプのソフトウェアを購入すると誤解してしまいがちなのですが、ユーザーが購入しているのはそのソフトウェアそのものではなくそのソフトウェアを使う権利です。それが買い切りタイプであれば永続的に使える権利、サブスクリプションであれば特定の期間内のみ使える権利です。

またこれらの権利には行使するにあたって条件が伴います。よくEULAと呼ばれる長い説明文がインストールの際に表示されますが、それはEnd User License Agreementの略で、エンドユーザーは次の条件に同意してくださいねという書面です。この中に例えば「商業作品の中で使ってもいいですよ」であったり「他者への譲渡の際はこのルールに従ってね」みたいなことが書かれていたりするわけです。逆に「商用利用はしないで下さいね」と書いてあることもあるため、実はとても重要な文章なのです。

ライセンスのことを正しく理解して、正規に入手したプラグインで音楽制作を楽しんで下さい。