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マスタリングにおける5つの着眼点③【ミックスマスタリング学園#8】

2023.04.26

マスタリングにおける5つの着眼点①
マスタリングにおける5つの着眼点②
マスタリングにおける5つの着眼点③(この記事)

アシスタントの力を借りる

ここまでマスタリングの様々なプロセスについて解説してきましたが、OzoneのMaster Assistantを使えばこうした一連のマスタリングの流れをAIが判断し、自動的にマスタリングプリセットを提案してくれます。マスタリングが苦手な方でも安心してマスタリングが始められますし、得意な方にとっても第三者目線が得られるため最終的な意思決定を行う際の時短になるでしょう。

Ozone 10を開いたら黄色い枠のアシスタントボタンをクリックしてから、楽曲の最も盛り上がるパートを約8秒ほど再生して下さい。

するとAIが自動的に楽曲のトーナルバランスやダイナミクス、ステレオイメージ、楽曲のジャンルを解析し、そのジャンルに適した状態に近づけるようなマスタリングプリセットを提案してくれます。

解析が終わったらまずTargetsの中で指定されているジャンルが想定していたものに合致しているかを確認します。

黄枠のアイコンをクリックすると、先程Audiolensで解析したターゲットを用いることも出来ます。

ターゲットが決まったらこの画面の中だけでもここまで説明してきたStabilizer、Impact、Imager、Maximizerのかかり具合の強さをコントロールすることが出来ます。MaximizerはOptimise for:をStreamingに設定していると-10LUFSを目指すようにスレッショルドが設定されますが、そこから±4dBの間で調整することが出来ます。

より細かい調整を手動で行いたい場合は黄枠のボタンをアイコンをクリックしてプラグインチェーンの画面(Detailed View)へと遷移します。

Detailed Viewではそれぞれのプラグインモジュールの詳細なパラメータにアクセスすることが出来る他、新たにモジュールを追加したり削除することも出来ます。

Master Assistantの使い方については下記の動画を併せてご覧下さい。

 

Ozone 10 AdvancedのMaster Assistantだと複雑な処理が出来すぎてしまって逆に扱いづらい場合はOzone 10 Elementsのよりシンプルなアシスタントが使いやすいかもしれません。ご自身の使いやすいバージョンを選んでみて下さい。Ozone Elementsを使う際は、Start Listeningボタンをクリックしてから楽曲の盛り上がったパートを再生して下さい。

Ozone 10 Elementsの使い方は下記の動画でも解説されています。

 

音量に騙されないために

一般に、人間は音量が大きくなると良い音だと感じる傾向があると言われていますが、ストリーミングプラットフォームにおいては信号をラウドに仕上げたとしてもリスナーに届く音が大きくなるわけではありません。なので、マスタリングで加えた処理が視聴体験の向上に寄与しているかを音量に騙されることなく判断しなければなりません。

そのためにはOzone 10のGain Match機能がとても便利です。

Ozone 10には各モジュールにGain Matchボタンがついており、これを有効にすると出力フェーダーの色が変わり出力の音量を変化させて入力と揃えます。

この状態でOzone 10モジュールをバイパスすると、Ozone 10をインサートしていない時と同じ音量になるため、Ozone 10によってどのような音の変化が生じたかを音量変化に騙されることなく客観的に判断することが出来るようになります。

Ozone 10のGain Matchの仕組みについては下記の動画で解説しています。

 

ゲインマッチを行うことの利点として、EQやコンプレッサーの効果を音量変化に惑わされずに判断出来ること以外にラウドネスノーマライゼーションが行われるプラットフォームに合わせたマスタリングを行うことが出来ることが挙げられます。

ゲインマッチを行わずにスピーカーやヘッドホンから出る音だけを信じて最もラウドで気持ち良い音になるようにマスタリングした場合、マスタリング前後を比較するともしかしたら画像の下の波形のようにみっちりと詰まった状態になっているかもしれません。

しかし、ラウドネスノーマライゼーションが行われるプラットフォームにおいてリスナーの耳に届く波形は実際にはこちらの画像の下の波形のようになります。

つまり、元の音源に存在していたダイナミクスやトランジェントが失われ平坦になった音がリスナーの元に届きます。何故こうなってしまったことに気づかなかったかというとそれはマスタリングの作業中にゲインマッチを行っていなかったことが原因です。

しかしゲインマッチを行いながら作業していれば必ず音への悪影響に気づくことができます。つまり、リスナーの元に潰れた音が届いてしまうのを未然に防ぐことが出来るのです。

ゲインマッチの重要性の詳細については下記の動画や記事をご参照下さい。

あなたの音楽、音量は適切ですか?【ミックスマスタリング学園#1】

 

Ozoneのアシスタントやゲインマッチ、様々なモジュールを使いこなして、より良い音に仕上げてみて下さい。